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基準周波数A=440Hz って何?

 

音楽において、たとえばラの音をどれくらいの高さにするか? といった時に、これを正確に決めておく必要があります。昔なら音又を作ってそれを基準としましたが、今は、周波数何Hzと、決めておくことができます。そこで決められたものが基準周波数です。

 

基準周波数は、普通、ピアノで言う真ん中のラの音、つまり49鍵目のラの音をどんな高さにするかを決めて、そこから音階を展開していきます。(音階の作り方は音律によって様々です)

そこで A=○○○Hz という表記になるのです。

 

音楽は有史以来、様々な音律によって音階が作られてきましたが、実はその基準となる音の高かさ(基準周波数)も時代、地域、ジャンルによって様々なものが使われてきました。

それを表したものが下の表です。

 

現在でこそ1939年ロンドン国際会議と1953年ISOによって制定された国際基準値A=440Hzがありますが、必ずしもそれが守られているわけではありません。アメリカは早くから440Hzを制定しましたが、ヨーロッパでは今もそれより高い444Hz、448Hzなどが主流です。また日本ではその間を取って442Hzがよく使われます。

 


たとえば古典楽器であるチェンバロは、今もバロック時代の基準値415Hzで調律されます。ルネサンス以前やヨーロッパ以外の音楽については詳しくは判明していませんが、世界的、歴史的には極めて多彩な基準音があったことが想像できます。
たとえば「モーツァルトを演奏するなら当時の音律ミーントーン」に拘って演奏する演奏家が数多くいますが、これにさらに「モーツァルト・ピッチに合わせて…」と付け加えるべきかもしれません。

 

 

時代

名称など

基準周波数

15~16世紀 ルネサンス時代

ベネチアン・ピッチ

466Hz

17~18世紀 バロック時代

バロック・ピッチ

415Hz

18世紀 バロック時代の後期

ベルサイユ・ピッチ、フレンチ・ピッチ

392Hz

18世紀 ヘンデルによる

ヘンデルの音叉

422.5Hz

18世紀 モーツァルトによる

モーツァルト・ピッチ

422Hz

18~19世紀 古典派時代

古典派ピッチ

430Hz

1859年 フランス政府による

フランス政府によって制定されたピッチ

435Hz

19世紀 ヴェルディによる

1884年 イタリア政府による

ヴェルディ・ピッチ

イタリア政府によって制定されたピッチ

432Hz

432Hz

1925年 アメリカ政府・団体による

アメリカ政府・団体によって制定されたピッチ

440Hz

1939年 国際会議による

ロンドン国際会議によって制定されたピッチ

440Hz

1953年 ISOによる

ISOによって制定された国際基準値

440Hz

20世紀 カラヤンによる

カラヤン・チューニング

446Hz

現在 ウィーン交響楽団、

   ベルリン交響楽団など

現在も使われている基準値以外のピッチ

444Hz448Hz